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Bizteria経営企画 Vol.6
MBO の活用上の留意点
アーンストアンドヤング トランザクション アドバイザリーサービス株式会社
   M&Aアドバイザリー マネージング ディレクター 斎藤 祐一

 従来はM&Aと言えば敵対的買収などネガティブなイメージが先行していましたが、現在では企業の成長戦略の重要なツールとして認知されるようになってきています。1990 年代のM&Aは主にバブル経済破綻後の処理に関わるものでした。いわゆる企業再生、ビジネスリカバリーなどを目的としたものが中心でした。しかし2000 年代に入って、企業の業績回復などに伴い、例えば、経営資源をコアに集中させ、ノンコアの事業は売却するという前向きな目的で行われるように変化してきました。

 現在、欧米の大手ファンドの日本市場への参入が増えています。欧米に比べて企業価値の上昇余地があると考えられているからです。特に企業が保有している不動産などの資産については、まだ有効に活用されていないと見られています。会計上の純資産よりも実体の企業価値はもっと高いところにあると考えられており、既に飽和観のある欧米に比べると魅力的な市場と写っているのです。

 一般にMBOを行う利点としては、中長期的な経営に専念できることが挙げられています。上場している場合には四半期開示など頻繁に経営状況を株主に対して説明する必要がありますが、MBOによりこれらの上場維持コストを回避し、中長期的な視点で経営を行うことができるからです。しかし、MBOが注目されている最大の要因は、頑張れば頑張るほど利益を得られるという経営陣に対するインセンティブです。また従業員の持ち株会がMBOの際に一部出資をすることで・・・ (続きを読む)

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