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Bizteria経営企画 Vol.29
「利は元にあり」 連載(第1回)
グローバル競争時代の新解釈
株式会社 戦略調達 代表取締役社長  中ノ森清訓

 「利は元にあり」という言葉があります。仕入れが大切という意味でよく使われるので、小売や卸売など商業、流通業のための言葉と考えられがちです。一方で、松下電器(現在のパナソニック)の創業者である松下幸之助さんが、この言葉の大切さを訴えている通り、「利は元にあり」は、商業、流通業だけでなく、製造業、建設、IT、サービス業など何れの事業にも当てはまります。

また、松下さんが、「この『利は元にあり』ということを、ともすれば単に安く買い叩けばよいというように解釈する人があるようです。しかし、決してそうではなく、仕入先を、品物を買って下さるお得意先と同じように大切にしていくことが肝要だと思います。そういう気持がないと、結局は商売は繁昌しないと言えましょう。(出所:「『一日一話』仕事の知恵・人生の知恵」 松下幸之助著 PHP総合研究所編)と説いたこともあり、近江商人の経営理念である「売り手よし、買い手よし、世間よし」の「三方よし」と重ねて捉えている人も多いようです。

近江商人は、近江国(現在の滋賀県、琵琶湖周辺地域)出身の商人で、江戸時代より現在に至るまで数多くの大商人が生まれています。トヨタ、日本生命、ワコールなど、現在の大企業の中にも近江商人を起源とするものが数多くあります。そのため、その経営理念から事業の成功のヒントをつかもうと、経営者の参考にされることが少なくありません。

「三方よし」は、商売は、売り手が儲けるだけでなく、取引の相手先である買い手、お客様にも喜んでもらい、それだけでなく、商売の当事者である売り手、買い手のみならず、世間、つまり売り手、買い手を支える社会にも役立つものでなければならないという考え方です。

なぜ、今更「利は元にあり」などという古い言葉を持ち出してきたかと言うと、・・・ (続きを読む)

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