人の心には「無意識」という私たちが意識することのできない層が存在する。「無意識」は心の健康を保つために大きな役割を果たしているものの、混乱をもたらす諸刃の剣である。身体に異常はないが、理由もなく「やる気」が出なくなるという症状は、「無意識」を含めた心全体のエネルギーが低下している状態である。頭では「がんばろう」とは思うが、どうしても「やる気」が湧いてこない経験は、どんなビジネスマンにも一度くらいはあるであろう。
こうした状態の時にカウンセラーと会話をしてみると、普段は考えてもみなかった深い想いに気づいたり、何十年間も思い出すことのなかった幼い頃の記憶が、突如として湧き出たりして、驚くことになる。これは「無意識」の層へと意識が降下していっていることを意味する。この時、クライアントと共にどこまで降りていけるかで、カウンセラーの力量が試される。それは辛い作業である。人の話しに黙って耳を傾けていることは、実は、カウンセラーの側が相当な心のエネルギーをつかっていることなのである。クライアントとともにカウンセラーも苦しむからこそ、クライアントは何かをつかんでいく。また、「心の変革」の過程では、意識のレベルを無意識へと一時的にでも変えることが必要とされる。それは非日常的であり、特異な体験がそこにはある。
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