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Bizteria経営企画 Vol.21
【連載】「ストーリーテリング」で人を動かす(第10回)
株式会社イニシア・コンサルティング 取締役副社長 井口 嘉則

 先日、米国のストーリーテリング研究者が来日して、日本におけるストーリーテリング実践者に会いたいとのことでお会いした。彼曰く、米国では、企業においてストーリーテリングの活用が盛んなのだが、往々にして語り手から聞き手への一方的なストーリーテリングになってしまっていることが多いという。たとえば、社長が新年の方針説明をする際にストーリーテリングの手法を活用して、「私は、このような風にして(ストーリーを語りながら)、かくかくしかじかの成果を君たち従業員諸君が上げることを期待している」というような話し方をする。すると、聞き手の側からすると、「それは、社長、あなたにとって都合のいいストーリーであって、私たちにとってはちっともいいストーリーではないじゃないですか」ということが往々にして起こる。そうすると、社長がせっかく一生懸命ストーリーテリングをしても、社員が動かないということになってしまう。一方的なストーリーテリングは、必ずしも共感や望ましい行動を引き起こさないのである。

 今回の連載で紹介してきた「ビジョン・ストーリー」は、前回ご紹介した7つの使い方のうち特に、1.経営ビジョン設定・中期経営計画策定、2.組織の将来像設定/組織風土改革の2つの分野で大きな効果を発揮する。というのも、実は、「ビジョン・ストーリー」は、それを作るプロセスに、関係者が共有できる考え方と仕掛けを組み込んであるからである。つまり、単にストーリーの作り手から聞き手への一方的なメッセージとならないように、関係者が共同でストーリー作りをするようにしたり、出来上がったストーリーが主要な利害関係者で共有できるように入念な確認と作りこみを行うなどするのである。このため・・・(続きを読む)

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