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Bizteria経営企画 Vol.20
【連載】「ストーリーテリング」で人を動かす(第9回)
株式会社イニシア・コンサルティング 取締役副社長 井口 嘉則

 ぼんやりとした将来像を具体化できるという意味で、「ビジョン・ストーリー」の活用法は大きく分けて7つある。

 一つは、経営ビジョンの具体化である。3年後、5年後こんな会社にしたいということを述べるのに、通常は、「環境・エナジー先進メーカー」に見られるように概念的に提示することが多いが、それではお客様や従業員にイメージが伝わらない。このため、「ビジョン・ストーリー」を使って、具体的に実現したい場面を描いて、イメージが伝えられるようにする。筆者は、数年前からこの手法を用いて顧客の中期経営計画の立案に活用していう。これを行うと立案自体がスムーズに行くのと、中計の実現度合いが高まるのである。

 二つ目は、部門や部、課等の組織の将来像設定に活用する方法である。考え方は経営ビジョンの設定と同じだが、対象範囲が限定されている分、浸透度と影響力が強い。対象となる組織の長を含め主要なメンバーが集まり、共同で「ビジョン・ストーリー」作りを行う。そうすると、本音ベースの意識の擦り合わせが行え、ベクトルが合う。ある化学系の会社の一部門では、業績不芳で他社への事業売却すら検討されていたが、「ビジョン・ストーリー」導入により、その部門の求心力が格段に向上し、その後短期間に業績が向上し、社長賞を受賞するにいたったほどである。

 三つ目は、プロジェクトのゴールイメージ設定に活用する方法である。プロジェクトは・・・(続きを読む)

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