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Bizteria経営企画 Vol.16
【連載】「ストーリーテリング」で人を動かす(第5回)
株式会社イニシア・コンサルティング 代表取締役副社長 井口 嘉則

 今回から、ストーリーテリングが効果的なシチュエーションのうち、「未来に導く」ということについて我々の実践例も含めて複数回にわたって紹介してみたい。

 よく「明確な目標を持て」と言われる。明確な目標とは、将来の特定時期にこうなりたいという目標である。スポーツ選手で言うと、オリンピックでメダルを取る、などの目標である。明確な目標を持てると、それを達成する意欲が湧くし、その目標達成に向けて現在の自分に足りないものが認識でき、それを補うための方策を考えたり、実行したりする。だから、明確な目標がある場合は、基本的に人間は前向きになれる(図表参照)。おそらく読者の皆さんも、過去自分のことを振り返ってみて、明確な目標が持てた時は前向きな気持ちが強かったという記憶があるのではないだろうか。

 それに対して、明確な目標が持てないときは、モチベーションが上がらないため、現状に対する不平・不満が多くなるし、自分の不満の原因を他人に押し付けがちである(いわゆる他責)。先の北京オリンピックで水泳の北島康介選手がみごと2つの金メダルを獲得したが、彼もアテネで2つの金メダルを取ってからしばらくは調子の上がらない時期があった。怪我もしたようで、どうやら彼はその時期目標を喪失していたようである。彼のような精神力の強い選手でも、一度目標を見失うと、モチベーションの低下にさいなまれてしまう。しかし、北島選手の場合は、・・・(続きを読む)

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