Home > Vol.16 > 自律組織への変革
Bizteria経営企画 Vol.16
自律組織に求められるもの
株式会社インストラクショナルデザイン 代表取締役 中原 孝子

 自律型組織といったときに、比較に出されるのが、ピラミッド型組織だ。変化が激しくなかった「製造の時代」には、効率的に各機能が仕事をこなすために、指揮、命令系統が明確で、決められたことを確実にこなすことが求められたからである。それに対して、数年前から声高に叫ばれているのが自律型組織、フラットな組織で従業員個々人が判断・行動を起すことができる組織である。変化が激しく、決断や戦略実行にスピードが求められる現在の企業環境においては、従業員は、上からの決定に従って自己に与えられた役割さえしていればよいという時代はとうの昔に終わった。フラットな組織では、階層が少なくなり、ディシジョンメイキングのスピードも速くなる、ということであろう。

 また、そういった「自律型組織」を目指す経営者の期待は、従業員個々人が自ら課題を発見し、自分で考え、行動を起すという社員個々人の「自律」でもあろう。しかし、当然のことながら、組織構造を変えただけでは自律した社員は育たない。また、自律型人間を雇うためには、雇用する企業側も自律型人間を魅了できる価値を示さなければならない。例えば、GoogleやW.L.ゴア社のような「自律型組織」を考えると、彼らの組織にあるのは、自ら行動を起すことに対しての権限の委譲と企業としてのリスクテイクがある。「“あなたの範囲で”出来ることを積極的にやりなさい」ではなく、自分だけの範囲では出来ないことも発言し、行動し、自己組織化する「自由」が認められている。そこには、大きな学習と変化が常に起こっている状態がもたらされる。・・・(続きを読む)

Copyright (C) 2007 Bizteria. All Rights Reserved.