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Bizteria経営企画 Vol.12
【連載】「ストーリーテリング」で人を動かす(第1回)
株式会社イニシア・コンサルティング 代表取締役副社長 井口 嘉則

 20年近くにわたってコンサルティングの世界に身を置いてきたが、長年、顧客に我々の提案を実行してもらうにはどうしたらいいのか、と悩み続けてきた。そして、その結果たどり着いたのがストーリーテリングである。ストーリーテリングを使うと相手の反応が変わる。相手が行動を起こすことが分かってきた。実は、こういうことが大切なのだということを、今回から数回にわたり、ストーリーテリングのエッセンスを交えて語ってみたい。

 さて、まず、世界の宗教の中で一番人口が多い宗教は何だろうか?ふとそんな疑問を持って、インターネットを調べてみると、一番多いのが、がキリスト教で20億人超である。ざっと世界の人口の約1/3がキリスト教徒である。続いて多いのが、イスラム教で10億人強。3位がヒンズー教で10億人弱。イスラム教がアラブ世界から支持され、インドの人口の大半がヒンズー教であることを考えると、キリスト教信者の人口の民族的広がり、地域的な広がりに驚かされる。キリスト教がもともとユダヤ教から出た宗教で、ユダヤ教徒が現在でも2千万人に満たないことを考えるとキリスト教の伝播力の強さに感嘆する。ざっと2千年で100倍である。キリスト教が広まったのには、教義の普遍性もあると思うが、私は、実はそのストーリー性にあるのではないかと思っている。

 イエスがユダヤ人として、処女マリアから生まれ、成人してから、数々の奇蹟を起こしながら反ユダヤ教的考えを布教したため、十字架の刑にかけられたが、死後復活を遂げた、というストーリーは、キリスト教徒ではない私でも知っている。一方・・・(続きを読む)

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