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Bizteria経営企画 Vol.10
可視化経営と改善活動
慶應義塾大学 大学院 経営管理研究科 教授 河野 宏和

 可視化や「見える化」という言葉があちこちで使われ、1つのブームにもなっています。しかし、言葉やキーワードが先行し、誤った伝え方、捉え方がされているのも事実です。確かに経営情報を可視化することは必要なのですが、「とにかく、なんでもいいから可視化しろ」というように、可視化すること自体が目的化している風潮があります。また、可視化・「見える化」を支援するIT製品が市場にあふれているため、とりあえずツールを導入して可視化を始めようとする経営者も少なくありません。このような形で可視化に取り組むと、情報の入力や報告の作業が急激に増えるため、担当者に多大な負荷がかかり、現場が混乱してしまいます。

 また、最近では度重なる企業不祥事を受けて、再発防止の観点から可視化を進める企業も増えています。確かに、不祥事を防止する取り組みは必要ですが、可視化することで不祥事が起きなくなるという考え方には無理があります。不祥事は経営者や担当者の判断に起因するため、どんなに可視化したとしても、それ自体で問題は解決されません。むしろ、可視化のための二重、三重のチェックといった業務が増えて、現場に余分な負荷が生じかねません。

 このように、可視化・「見える化」さえすればよいというのは誤りですが、では本来、可視化とは企業経営においてどう位置づけられるものでしょうか ・・・(続きを読む)

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